研究活動
光スピントロニクス
らせんスピンの自然旋光性

通常のカイラル物質中では、結晶や分子構造の非対称性によりカイラリティが生じ、自然旋光性により右手系と左手系を区別することができる。一方で、らせん型に配列したスピンもカイラリティを持ち、そのカイラリティは電場により制御することが可能である。テラヘルツ帯に現れるらせんスピン構造の光応答であるエレクトロマグノンで自然旋光性が著しく増強されること、更にその旋光性が電場制御できることを明らかにした。
磁性ワイル半金属の巨大磁気光学効果



ワイル半金属中ではトポロジーに由来したワイル点がフェルミ面付近に現れる。強磁性ワイル半金属では、トポロジカルなバンド構造に由来した磁気光学応答の出現が期待されていた。テラヘルツ・遠赤外の低エネルギー領域での磁気光学分光により、巨大なトポロジカル磁気光学効果が生じることを初めて明らかにした。この成果は、トポロジカル物質が遠赤外領域の光学材料として有望であることを示している。
3次元磁気スキルミオンによる光学ホール効果


磁気スキルミオンはスピンが渦上に巻いた固体中に現れる粒子の一つである。磁気スキルミオン上を運動する電子は巨大な仮想磁場を受けるため、トポロジカル・ホール効果と呼ばれる電子の進行方向がねじれる現象が生じる。我々は3次元スキルミオン格子上の電子の応答を調べ、テラヘルツ帯でトポロジカル・ホール効果の起源となる共鳴が現れることを磁気光学応答を用いて観測することに成功した。