トップハイライトウィグナー結晶

人工原子・人工分子の電子状態

結合量子細線におけるクーロンドラッグの測定によって固体のウィグナー結晶状態を初めて検出

電子が一軸方向だけに動ける“量子細線”を平行に並べた構造を用い、電子のウィグナー結晶化(強いクーロン相互作用で結ばれた結晶格子状態)を裏付ける伝導現象を発見しました。
クーロン相互作用が非常に強い場合、電子が結晶(ウィグナー結晶)を組むことは以前から予測されていましたが、固体中でこれを検証することは最も困難な実験のひとつとされてきました。本研究では、平行に並べた2本の量子細線の間における電気的振る舞いの違いを利用して、ウィグナー結晶形成の有無を検出することに成功しました。さらに、絶対温度100mK以下の低温中で電子系を電圧制御することによってウィグナー結晶を自在に形成、解消できることを確認しました。

  • M. Yamamoto, M. Stopa, Y. Hirayama, Y. Tokura, and S. Tarucha, “Negative Coulomb Drag in a One-Dimensional Wire”, Science 313, 204-207 (2006).
  • 山本倫久、Michael Stopa、平山祥郎、都倉康弘、樽茶清悟、 “結合量子細線におけるクーロンドラッグ”、固体物理 41(10)、679-686(2006年10月5日)

プレスリリース: http://www.jst.go.jp/pr/info/info312/index.html

報道発表:朝日新聞“「電子の結晶」を固体中初確認か”、読売新聞“線状の電子結晶実証”、日経産業新聞“ウィグナー結晶確認”、日刊工業新聞“固体中の電子結晶形成”など、多数のメディアで取り上げられました。
このページの先頭へ