ABA積層構造を持つ3層グラフェンが半金属であることを 実験で初めて確認

１層や２層のグラフェンは、伝導帯と価電子帯とがエネルギー＝0で接したバンド構造を有しています。それに対して、ABA積層構造の3層グラフェンは、伝導帯と価電子帯とが重なった半金属であることが初めて実験的に確認できました。しかも、垂直電場の印加により、バンドの重なりの大きさを制御できることがわかりました。本研究では、バンドの重なりの実験的な見積もりも行い、これが共束縛近似の理論計算とよく合っていることを確認しました。バンドの重なりを電気的に制御できる半金属物質であるという点において、ABA積層構造の3層グラフェンは、これまでに全くなかった新しいタイプの材料と言えます。

• M. F. Craciun, S. Russo, M. Yamamoto, J. B. Oostinga, A. F. Morpurgo and S. Tarucha, “Trilayer graphene is a semimetal with a gate-tunable band overlap”,　Nature Nanotechnology 4, 383 - 388 (2009).
• 山本 倫久，Monica F. Craciun，Saverio Russo，Alberto F. Morpurgo，樽茶 清悟，“3層グラフェンの電気伝導とバンド構造”，固体物理特集号 45, 581-588 (2010).

Nature Asia MaterialsのHighlightでも紹介されました
http://www.nature.com/am/journal/2009/200909/full/am2009209a.html