集積可能な電子の2経路干渉計を世界で初めて実現 ―量子情報の長距離伝送や高速制御へ―
半導体基板上で電気的に制御できる集積可能な2経路干渉計を世界で初めて実現しました。また、空間的に移動している電子がどちらの経路に存在するかを量子ビットとして扱い、その“飛行量子ビット”の状態を電気的に制御しました。
この新しい技術を利用することにより、量子情報を半導体基板上で自由に伝送したり、高速で運動する電子を使って量子情報を従来と比べて遥かに高速で制御したりすることが可能になります。すなわち、量子光学的な実験を集積可能な電気回路を使って行うことが可能になります。また、飛行量子ビットを用いたアーキテクチャーでは、他のあらゆる固体量子ビット系と異なり、量子情報の制御のほとんどを省エネルギーな直流電圧によって容易に行うことができます。それに加え、量子間の距離や相互作用を自在に変えられることから、量子計算において最も本質的とされる量子もつれ状態の制御に適していると考えられます。更に、位相を直接的に正確に評価できるという2経路干渉計の特長を生かし、様々な量子力学的な電気伝導現象を位相を元に探求する際にも利用することができます。
プレスリリース: http://www.t.u-tokyo.ac.jp/epage/release/2012/12031901.html
報道発表:日経産業新聞“量子計算、電子流すだけ”、日刊工業新聞“2経路干渉計 集積可能な固体で実現”、ScienceDaily“How the Alphabet of Data Processing Is Growing: Flying 'Qubits' Generated”など、国内外のメディアに紹介されました。
参考ページ:
https://nanonet.go.jp/topics_ntj/?mode=article&article_no=1503 (ナノテクジャパン)
http://news.mynavi.jp/news/2012/03/21/093/index.html (マイナビニュース)
http://www.sciencedaily.com/releases/2012/03/120321142903.htm (ScienceDaily)