トップハイライト単一伝搬電子の量子ビット

人工原子・人工分子の電子状態

単一伝搬電子による初めての軌道量子ビットを実現

飛行量子ビットと呼ばれる光子や電子が伝搬する量子ビットを用いて量子コンピュータを構成すると、固体を用いた他の量子コンピュータシステムに比べて、システムの構築に必要なハードウエアが劇的に小さくなります。しかし、量子コンピュータシステムの構築に適する、電子を用いた固体の飛行量子ビットの電気的操作は実現していませんでした。
本研究では、ガリウムヒ素(GaAs)半導体基板の中に二つの経路(電子の通り道)を用意し、電子が量子力学的なトンネル結合によって経路間を行き来できるようにしました。そして、音波の一種である表面弾性波に単一電子を閉じ込めて安定に輸送し、輸送された単一電子が二つの経路のどちらに存在するかで定義される飛行量子ビットに対する電気的な量子演算を実現しました。

本研究は、産総研、Ruhr大学Bochum校などとの共同研究によって行われました。
  • R. Ito, S. Takada, A. Ludwig, A. D. Wieck, S. Tarucha, and M. Yamamoto, “Coherent beam splitting of flying electrons driven by a surface acoustic wave”, Phys. Rev. Lett. 126, 070501 (2021).

プレスリリース: https://https://www.riken.jp/press/2021/20210216_1/

 

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