量子ホール状態を介した超伝導流を初めて観測
トポロジカル状態と超伝導との接合では、マヨラナフェルミ粒子、パラフェルミ粒子などの非可換統計に従う準粒子が励起されることが知られています。このような準粒子は環境雑音に強く、従ってそれを利用したエラーの生じないトポロジカル量子計算などが最近大きな注目を集めています。
二次元電子系に垂直磁場を印加することによって形成される量子ホール状態は、ホール伝導度が量子化されるトポロジカル状態として知られています。本研究では、量子ホール状態にあるグラフェンを超伝導体で挟んだジョセフソン接合を流れる超伝導電流の観測に初めて成功しました。この超伝導電流は、グラフェンと超伝導体の界面の電子正孔混成モード(マヨラナモード)を介してグラフェンの両方の端状態が関与するという、これまでは観測されていなかった機構によるものです。本研究成果は、マヨラナフェルミ粒子やパラフェルミ粒子といった固体中のトポロジカル励起を観測するための重要なステップです。
本研究成果は、米Duke大学などとの共同研究によって達成されました。
プレスリリース:http://flex.phys.tohoku.ac.jp/gensisou/pressrelease.html#pr_20160520